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ついていきたいと思われるリーダーの条件”リーダーシップ”の正体とは?

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とある会合で話す柴田。聞く人を惹きつける話術は柴田の持ち味

毎週ブログを更新する時は、柴田から原稿と使用する画像をもらうのですが、たまに「えっ!?」っととまどう画像が送られてきます。
今回もちょっとおちゃめな画像が送られてきたので腰抜けて、
「社長!だめです。」
「そうかな?内容読めば意味がわかるよ」
「やめときましょう!(きっぱり!)」
と水際で阻止しました。笑。

この未公開画像、柴田をよく知る人ならともかく全く知らない人が見るブログではまだちょっと。。。
ブログの更新が100回続いたら、記念に公開する事にしてとっておきます。

どんな画像かはその時まで楽しみにしていて下さい。

さて、今日のコラムは「リーダシップ」がテーマです。

リーダーシップについて

今回は難易度が高く永遠のテーマとも言える「リーダーの人間的魅力」について考察してみたい。リーダーシップ論に関しては拙著『ビジネスで活かす電通「鬼十則」~仕事に誇りと自分軸を持つ』(朝日新聞新書)でも触れた。また最近各方面から頂く講演依頼に際し「リーダーシップ論」、「リーダーの必要条件・人間的魅力」「リーダーシップとマネジメントの違い」等々のテーマが多い。

現代社会は創造と変革の時代を迎えて久しい。グローバル化、M&A旋風、デジタル化とネットの急速な進展などは旧来型ビジネスモデルを根底から覆していく。それに伴い人材の流動化など社会基盤にも地殻変動が起き始めた。時代が急激に変貌を遂げる中、多くの企業がビジネスモデルの変更を迫られ、組織の存在理由をも問われる。パラダイムシフトはもはや予兆ではなく今現実に進行している真実だ。そのような時代環境がリーダー待望論に傾注するのは当然の帰結といえる。

巷間、仕事は“事に仕える”ことだと言う方も多いが、僕はそれだけでは消化不良であり到底満足も出来ない。多くの仕事において人間が介在する以上、そこには「属人的」な要素も極めて重要だと考えるからだ。今後AI化が加速し、さまざまな仕事が人工知能に代替されていくことは間違いない。が、ゆえに生身の人間が介在する仕事においてこそ、人間力形成が究極の課題となる。代替不能な自分を、どのように構築するかが、これからのビジネスマン共通命題だと考える。

~虚像の人気者~

リーダーの人間的魅力を間違って解釈した僕の20代を自責の念を込めて暴露する(汗!)。勘違いの始めの一歩、それは“人気者”になることだった。人気の要素は多々あるが、その一つに「非日常性」が挙げられる。それは自分とはかけ離れた存在。ビジネスオンタイムでは“俺が、俺が”で周囲を気にすることなく、売り上げ至上主義の先兵として、ただがむしゃらに爆走する。組織の伝統、風習、不文律、掟など一切頓着しない。売り上げという闘いに方法論など眼中なし!勝てば官軍!と嘯いていた自分がいた。

仕事が終われば、何時であろうとも、後輩や取引先の若手を誘い一献かたむける。絶えず年長者ゆえに、江戸町人文化に息づいた美学“宵越しの金は持たない”かのような大判振舞い。当然の帰結として自分自身の家計は火の車だった(苦笑)。酒席の空間では一切の愚痴を遮断し、人物査定をすることもない。従っていつも“健全”であり“建設的”な話題に終始するよう努める。深夜早朝に及ぼうともその時、その空間の一体感だけが充満する酒席を繰り広げた。

そのような僕を後輩諸氏はどのように眺めていたのだろうか。各人の固定観念、価値観を飛び越えていく、想定範囲外の言動は紛れもなく“非日常の立居振舞”として映っていただろう。あるいはピエロを観る冷静な群集心理だったのかも知れない。人気者はフォロワーを必要とするが、リーダーシップはフォロワーを前提としない。この徹底的な違いに気付いていなかった。しかし20代の僕は、非日常的なスタンスに陶酔し“陽炎”のような人気者と「信頼に値する」リーダーの区別もつかず、日々演じ切ることを原動力として駆け抜けた。

とある会合で話す柴田。聞く人を惹きつける話術は柴田の持ち味

とある会合で話す柴田。聞く人を惹きつける話術は柴田の持ち味

~リーダーが備える人間的魅力とは~

と、見出しを付けた段階で既に陳腐化しそうな気になり滅入るが、敢えて私見を申し述べたい。人間的魅力とは!?この解は「この人についていきたい」と思わせる資質に尽きる。リーダーとしての人間的魅力の要素は多々あり、ゆえに同テーマに関する本は書店に溢れている。比類なき戦国武将、信長、秀吉、家康の性格的資質は有名な狂歌から推測出来る。

鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス(信長)
鳴かぬなら 鳴かせてみよう ホトトギス(秀吉)
鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス(家康)

この狂歌は心理学テーマにもなり、既に多くの評論家が論じているので新たな注釈など僕に出来る訳ないが、トップの人間的魅力には、理屈では解りきれない何かがある。

しかし、僕にはそれを推し量る「リトマス試験紙」が一つだけある。それは「1対1」と「1対多」の時にその真価が炙り出されるという真実。山本七平著「空気の研究」(文春文庫)に以下の記述がある。『われわれは常に、論理的判断の基準と、空気的判断の基準という、一種の二重基準のもとに生きている』。リーダーと自分が1対1で対話した時のスタンスが、1対多、すなわち群集心理に巻き込まれて変化する場面に見覚えはないだろうか。あるプロジェクトに関してリーダーと“サシ”で話し合い、意気投合し、全体会議に乗り込む。しかし会議参加者全員がそのプロジェクトを批准しない反対気運で結論に向かった時、そのリーダーが立ち上がり反転攻勢に出るか否か。

悲しいかな、組織には“エセ民主主義”と“博愛主義”を標榜にする管理職が多い。後輩・部下の誰にも嫌われたくない、好かれていたい、ゆえに迎合姿勢で接してくる上司。皆様の周囲にも間違いなくいるはずだ。人間力の必要条件に構想力、実現力、意志力等があるとすれば、僕は十分条件に個々人の「真善美」を挙げる。組織の論理、世間の評価から自分を解き放ち、自分が心底信じ、それを遂行することに喜びと誇りが感じられる、そんな自分にとっての「真善美」を貫く、その積み重ねが大切だと考える。

~突き詰めると「本質」思考~

ヘミングウェイの『勇気とは、プレッシャーに負けない品格のことだ』という言葉好きだ。

自分が正しいと考えていることと、誰かが言っていることが、食い違っていた経験は誰にでもあるのではないだろうか。心中違うと思いながら、仕方なく行動したこと。他人や周囲の顔色をうかがい、その場を丸く収めるためにYes!と言ったこと。本当は行きたくないけど、断るのが怖くて引き受けてしまった。断ることが罪悪感につながる。相手との関係を壊したくない等々。No!と言うのは、誰だって不安だ。チャンスを逃すのはもったいない。自分の立場がまずくなるのは困る。尊敬する上司や大切な仲間を失望させたくない。そう考えるのは至極ごもっともで、何も悪いことではない。人は関係性に縛られた生き物であり、このような葛藤が、僕たちの判断を鈍らせているのは紛れもない真実だ。

しかし、さまざまな“同調圧力”に負け、不本意なYes!を宣言し、ほんの一瞬の自己満足の後に襲いかかってくる深い後悔に打ちひしがれるのも“不都合な真実”。なぜ安請け合いして、こんな行為をしてしまったのか、と相手を恨み、自分を責める。そしてそのような事態を繰り返し、あげく自責を覆い隠す他責思考に陥ったらゲームセット。

僕たちは葛藤に対しては無力なままだ。次々と目の前にやってくるタフな選択から僕たちを守ってくれるのは「何が本当に重要か」という確信に他ならない。仕事や人生の決定打となるブレイクスルーは「多くの瑣末なことを切り捨てる」ことから始まる。“やることリスト”ではなく、「やらないことリスト」を明確にする。もっとゆっくりYes!と言い、もっと素早くNo!と言うことを胸に刻む。人はNO!と言う勇気を高く評価し、尊敬するものだ。安易な速攻Yes!という好印象より、毅然としたNO!という姿勢に敬意が生まれる。決断という言葉の語源は、ラテン語で「切る」「殺す」という意味だ。絶えずトレードオフを自身に課し、本質だけを見つめ、本質から外れた物事を断固として切り捨てていく思考と行動がリーダーシップの原点だと考える。(柴田明彦)

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