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僕の生きがい。物語脳をフル稼働させ売る喜びを感じる仕事をする

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決断の聖地を手にする柴田明彦

『売る喜びを感じる仕事をしたい』

柴田と仕事をするようになってから、幾度となく聞く言葉です。
その言葉通りに、最近立て続けに2つの”売る喜びを感じる”商品を世に送り出しました。

動き出してから発売まで約4年間。構想の時間を含めるともっと長い時間をかけて実現させました。

彼を突き動かす燃料の正体はなんなのか?
その芯に迫りましょう(編集記)

シリーズ「3000文字の呟き」Vol.2

本シリーズはビジネス雑感を綴る。日々さまざまな属性にチェンジしながら仕事をしていると、対峙するビジネスパーソンも多種多様。当然ながら価値観の多様性に遭遇し、自分の視点と視座の違いに気付かされ学ぶことも多い。とても嬉しいことだ。さてそれでは本線に入ろう。

◆売ることに喜びを感じる

本屋大賞とは「全国書店員が選んだいちばん! 売りたい本」をキャッチコピーに掲げ、2004年に設立された文学賞。NPO法人・本屋大賞実行委員会が運営している。第1回受賞作品は小川洋子氏著「博士が愛した数式」。同作品は第55回読売文学賞受賞作であり、2006年1月に映画化、同年3月にラジオドラマ化された。しかし、この本屋さん大賞のモデルがアメリカ「ABBY賞」であることはあまり知られていないようだ。全米の書店員が「売ることに喜びを感じる」という基準で本を選定する賞。第1回ABBY受賞作品は「リトル・トリー」(フォレスト・カーター著)。夏休みにインディアン(アメリカ先住民族)の祖父母の家で過ごした少年の物語。先住民族の文化、価値観に興味がある僕には爽快な一冊だ。倉本聰が帯に書いているコメントも素晴らしい。著者は様々な“こと”があったようだが、その点には触れない。僕が気に入っているのは「売ることに喜びを感じる」というABBY賞コンセプト。なんて素敵なことだろう。世の中には多くのセールスマンがいるが、この理念に則って自分の売る商材に向き合えているならば至上の喜びだと思う。セールスマンの皆さま、いかがですか!?

◆虚業から実業へ

何度でも言う。電通に23年間勤務したことに大変感謝している。数年前に同社で起きた“不幸な出来事”は、働き方改革の引き金となり以降電通はブラックカンパニーの代名詞ともなった。僕が在籍して当時ブラックという名称は世の中に存在しなかったが(対義語となっているホワイトという名称もなかった)、“現在の世論そのまんまの会社”であったことは間違いないだろう。そのような会社に新卒で入社した。カルガモは初めて見たものを親と認識すると聞く。僕にとって会社とは電通そのものだった。社内の価値基準は不文律の憲法であり掟だと自然体で受け入れることに何の抵抗感もなかった。ダークグレーのスーツに白いワイシャツというドレスコード(*新聞局限定)も遵守した。新興宗教の忠実な入信者ではないか!?との見立てに異論反論はない(笑)。広告会社(広告代理店という名称を電通は好まない)は、企業、団体(例えば政党)、個人のブランディングを含めたあらゆるコミュニケーション活動を支援するのが生業。広報、宣伝活動支援が主体だが、業務領域は多岐に渡る。メーカー(製造業)のような自前で開発した商品はない。電通における商品は多種多彩な「人財」とでも言っておこう。ちなみに僕は“人材”という字を使用しない。さらに私見を述べる。「人材は都市に集中し、人財は地方に宿る」と考えている。いや、考えるに至った。この観点も電通新聞局地方部に在籍し、全国地方新聞社と知り合ったお蔭さまだ。本線に戻す。さて、そのような電通で多くの機会、経験、知識、人脈そしてささやかな知恵を授かったことに感謝している。極めて特異な会社(力の限り強調!)ではあったが、“正規軍ブートキャンプ”で鍛えられたビジネス脳と社会脳は独立してから“ドップラー効果”(*注釈「親父の小言と冷酒は後から効く」と同義語として多用している)のように活きている。
が、しかし敢えて言う。広告業は限りなく虚業に近い!と。独立して13年、電通在職中に知り得た人種とは異次元で生き抜く方々と出会い、談義し、ビジネスを協業してきた。寝ても覚めても新商品を企画し続け、コスト意識を持ちながら開発して、販路を切り拓き、売り、その結果を総て負う実業の世界を垣間見た。彼らは自分の商品に自信と誇りを持ち、売ることに至上の喜びを感じている。何度となく素晴らしい光景に出会い、心の底から感激というマグマが噴出したことを鮮明に覚えている。後半人生は僕も売ることに喜びを感じるサイドに立ちたい。その想いから特許庁に申請し商標登録したアイテムを二つ“産みだした”。一つは「決断の聖地」という純米酒、もう一つは「Wing & Wind」というジュエリー。

決断の聖地を娯しむ会にて。

決断の聖地を娯しむ会にて。

◆物語脳をフル稼働させる

僕たちは長く左脳偏重型の社会ならびに価値観に縛られてきたように感じる。左脳は一つの答えに集中し、右脳は統一的全体へと分散していく。左脳はカテゴリーに、右脳は関連性に焦点を絞る。左脳は細部を捉えることが得意だが、全体像を見ることが出来るのは右脳だけだ。古代ギリシャの格言『キツネは多くの事を知っているが、ハリネズミは大きな事を一つだけ知っている』が好きだ。左脳は「キツネ」であり、右脳は「ハリネズミ」だと理解している。誰もが事実や情報や知識を瞬時にアクセスして仕入れることが可能な現代において、一つひとつの事実の価値は低くなった。そのような現代において「物語脳」がクローズアップされている。事実を「文脈」に取り入れ「感情的インパクト」で相手に伝える能力が重要だ。感情によって豊かになった文脈こそ、物を語る能力の本質に違いない。作家のE.Mフォースターの有名な言葉を借りれば、事実は「女王が死に、国王が死んだ」であっても、物語では「女王が死に、その悲しみのあまり国王も亡くなった」となる。モノと情報が溢れた社会環境の中、生活の「意義」を追究する機会が益々増えていくだろう。そのような中で自分のことを語る物語、自分達に語りかける物語も含め意義を追求する手段として物語脳の重要度が増すことは間違いない。物語だけで病気を治すことは出来ない。しかし物語が現代のテクノロジーと有機連携したとき、素晴らしい癒しのパワーを発揮するこが可能だ。物語医学が治療に大きな成果を上げていることがその証左と言える。長年“左脳思考”が中心だった世界に「右脳的アプローチ」を取り入れる潮流は今後さらに加速していくだろう。

決断の聖地を手にする柴田明彦

決断の聖地を娯しむ会でホストを務める柴田

◆再び「売ることに喜びを感じる」

僕たちの脳は他人モードにハイジャックされていると感じて仕方ない。特にSNSの普及がハイジャック化を加速させている。朝起きるとTwitter、Instagram、Facebookをチェックし、移動時間、飲食時間、就寝前までSNSの呪縛に絡めとられているかの如く。どうすればフォロワーを喜ばせ“いいね!”を押してもらえるか!?について考えている。他人モードに浸りきった停滞感は、ネット時代に生きる世代の生活習慣病かも知れない。この現象はビジネスの世界でも蔓延している。ステークホルダーを含め「外部」を過剰に意識すると、その企業の原点や固有の理念が忘却の彼方に消え去っていく。“そんな夢物語ではなく根拠を示せ!”というワードがビジネス界で飛び交っている。論理的な戦略、データ分析に基づいたマーケティングも大切ではあることを否定しない。しかし人も組織も「これがやりたい!」という強い想い、さらに踏み込むならば「妄想」を機動力に転換できれば強靭だ。妄想を掘り起こし、ビジョンを描き、具現化するプロセスを物語として発信する。その積み重ねが物語脳を鍛える。合理性という論理を離れたところからスタートする。劣化した第三者のコピーではなく「自分モード」のアクセルを踏みっ放しで走り切る。そのような中から生み出した自分の商材に愛着がない訳がない。僕にとって「決断の聖地」と「Wing & Wind」が、売ることに喜びを感じる逸材であることをご理解いただけるだろうか!?物語脳の真価が問われる。(柴田明彦)

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